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Blind Wine Tasting — Episode Note

日本×甲州
色と香りの
“ギャップ”を読み解く

番組に登場したワインの産地・生産者・テイスティング用語を、ワインをはじめたばかりの方にも分かるように解説します。動画を見ながら、または見たあとの復習にお使いください。

2026.08.17 配信 / 16:46 / 白ワイン / 3,000〜5,000円のワイン

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01The Wine

今回のワイン

ブラインド(銘柄を伏せた状態)でテイスターに出題されたのは、山梨県勝沼の甲州でした。

KOSHU 菱山畑 2024
※ボトルはイメージです

甲州 菱山畑 2024Grace Koshu Hishiyama Vineyard

グレイスワイン(中央葡萄酒株式会社)

品種甲州
産地日本/山梨県甲州市勝沼町 菱山地区
ヴィンテージ2024年
アルコール度数11.5%
醸造ステンレスタンクで発酵・熟成(樽は不使用)
栓スクリューキャップ
参考価格4,400円(税込)
選定井黒 卓さん(今回のテーマは「3,000〜5,000円のワイン」)

ひとことで言うと標高の高い畑が生む冷涼感と、甲州らしいピュアさ・ほろ苦さを、ステンレスタンクでまっすぐに表現した一本です。

02The Tasters

テイスターの結論

3名のテイスターが、外観・香り・味わいから品種・産地・ヴィンテージを推理しました。進行とワイン選定は井黒 卓さんです。

TASTER

小野塚 悠也

ワインコンサルタント。YouTubeチャンネル「ソムリンTV」のスーパーソムリエ。

TASTER

山川 智美

レコール・デュ・ヴァン講師。数多くのブラインドテイスティング大会に出場。

TASTER

大倉野 泰造

J.S.A.ブラインドテイスティングコンテスト優勝(第2・4・8回)。2024年世界大会4位。

HOST / 選定

井黒 卓

2020年 全日本最優秀ソムリエコンクール優勝。『ゴ・エ・ミヨ2024』今年のソムリエ賞。

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項目 小野塚さん解答 山川さん解答 大倉野さん解答 正解発表
品種アシルティコ甲州甲州甲州
産地ギリシャ・サントリーニ島日本・山梨県日本・山梨県(勝沼)日本・山梨県 勝沼
ヴィンテージ2023202420242024
アルコール度数—12.0%12.5%11.5%
生産者予想グレイス——グレイスワイン
結果生産者を的中満点プラス正解

2人が完全正解

山川さんと大倉野さんは、品種・産地・ヴィンテージをすべて的中させました。

決め手はアルコール度数

正解した2人の差はアルコール度数で判定。実際は11.5%で、12.0%と答えた山川さんが「満点プラス」となりました。

品種は外れても生産者は的中

小野塚さんは塩味や鉱物感からギリシャのアシルティコを選択。ただ、ほかの2人の答えを聞いたあとの生産者予想では、見事「グレイス」を当てています。

03Reading the Comments

テイスターのコメントを読み解く

プロのテイスティングは「外観 → 香り → 味わい → 結論」の順に進みます。番組で飛び交った言葉を、ステップごとに翻訳してみましょう。

I外観Appearance

色の濃さと色調を見る

  • 透明ですね
  • グリーンですね
  • 若々しい感じ

白ワインの外観では、色の濃さ(濃淡)と色調を確認します。「透明」は色がとても淡いこと、「グリーン」は緑がかった色調のこと。どちらも若いワインや冷涼な産地のワインによく見られるサインです。

ところが甲州は、果皮が藤紫色に色づく品種。この「グリーン」が、のちに山川さんを迷わせることになります。

II香りNose

果実・花・スパイスに分けて
とらえる

  • 香りがそこまで上がってこない
  • 丁子みたいな
  • コリアンダーシード
  • ミネラル。リダクティブなのもある
  • スイカズラ
  • 瓜っぽい。メロンの皮
  • カボス、ライム
  • モヒートの香り
  • グリーンパパイヤ

香りは果実・花・スパイス・その他(ミネラルや還元など)に分けると整理しやすくなります。今回は青い柑橘や瓜系の果実、白い花、そして甲州の手がかりになりやすい丁子(クローブ)や白コショウのようなスパイスが拾われました。

リダクティブ(還元的)
酸素を避けた造りで出る、火打石やマッチを擦ったような香り
イエルバブエナ
モヒートに使われるミントの一種。爽やかな青い香り
瓜系
メロンの皮やキュウリのような、みずみずしく青い香り
III味わいPalate

酸・苦味・ボディ・余韻を確かめる

  • 果実感は中程度
  • 余韻はそこまで長くない
  • 石の感じ、硬い感じ小野塚さん
  • 優しい。穏やかに寄り添ってくれる山川さん
  • ミディアムロー。スリム
  • 余韻のフェノリックグリップがくっと来る

同じワインでも「硬い・張り詰めた」「優しい・穏やか」と印象が分かれたのが面白いところです。共通していたのは、ボディは軽めなのに、後半にほろ苦さ(フェノリックグリップ)がグッと残るという点。この「軽いのに最後に引き締まる」構成が、品種を絞り込む鍵になりました。

フェノリックグリップ
果皮や種に由来する成分による、ほろ苦さや引き締まった口当たり
ミディアムロー
ボディ(重さ)がミディアムよりやや軽い状態
縦に伸びる・横に広がる
酸がまっすぐ奥へ伸びる印象が「縦」、口の中でふくらむ印象が「横」
IV結論Conclusion

3人はどう結論を出したか

小野塚さん

塩味と、横に広がるえぐ味、還元的・鉱物的なニュアンスから地中海系を想定。ガルガーネガやベルデホも検討したうえで、ギリシャのアシルティコへ。

山川さん

最初から甲州を想定。ただ「グリーン」な色調が引っかかり、日本のシャルドネも検討。後半のギュッとくる苦味で甲州に戻りました。

大倉野さん

最初に感じた丁子の香りの時点で甲州とほぼ確信。冷涼で透明感のあるスタイルから、産地を勝沼と推理しました。

04The Region

産地を知る:
山梨県・勝沼・菱山

日本ワインの中心地、山梨県。そのなかでも甲州の名産地として知られる勝沼の、さらに高台にある畑のブドウが使われています。

  1. 日本
  2. 山梨県
  3. 甲州市勝沼町
  4. 菱山地区

山梨県Yamanashi

日本で最も多くのワイナリーが集まる、日本ワインの中心地です。2013年には、ワインの地理的表示(GI)「山梨」が国内で初めて指定されました。

甲府盆地と勝沼Katsunuma

周囲を山に囲まれた甲府盆地は、日照時間が長く、昼と夜の寒暖差が大きいのが特徴です。勝沼は盆地の東側に位置し、古くから甲州の栽培で知られる町です。

菱山Hishiyama

勝沼のなかでも高台にあるエリアで、番組では「勝沼で最も標高の高い場所(約500m)」と紹介されました。日当たり・寒暖差・水はけに恵まれ、冷涼感と酸のバランスのよいワインが生まれます。

菱山畑のイメージ(模式図)

長い日照 菱山畑(約500m) 甲府盆地 勝沼の斜面 寒暖差・水はけ → 冷涼感と酸
※位置関係・地形はイメージです。標高は番組内の紹介によります。

あわせて覚えたい:勝沼には、菱山のほかにも「鳥居平(とりいびら)」など、甲州の銘醸地として知られる地区があります。畑(地区)の名前をワイン名に掲げた甲州が増えているのも、近年の日本ワインの特徴です。

05The Producer

生産者を知る:
グレイスワイン

番組のナレーションでは「日本ワイン産業をけん引する造り手のひとつで、甲州の可能性を最大限に引き出すことに力を注いでいる」と紹介されました。

中央葡萄酒株式会社Grace Wine

山梨県甲州市勝沼町に拠点を置く、家族経営のワイナリーです。「グレイス」のブランド名で知られ、栽培・醸造の責任者は三澤彩奈さんが務めています。

勝沼の菱山地区の甲州に加え、北杜市明野町には標高約700mの自社畑「三澤農場」を持ち、畑ごとの個性を表現するワイン造りに取り組んでいます。

今回の「菱山畑」は、ステンレスタンクで発酵・熟成させることで、甲州のピュアさとフレッシュな酸をまっすぐに引き出した一本です。

  1. 1923山梨県勝沼で創業
  2. 2014「キュヴェ三澤 明野甲州 2013」が、デキャンター・ワールド・ワイン・アワードで日本ワイン初の金賞を受賞。甲州が世界から注目されるきっかけに
  3. Today勝沼・明野の畑から、甲州をはじめとする多彩なワインを届けています

はじめて甲州を「おいしい」と思ったのが、だいぶ前の菱山の2008年。好きな畑なので、せっかくグレイスの甲州を出すならこれかなと思って選びました。— 井黒 卓さん(要約)

06The Grape

品種を知る:
甲州

日本を代表する白ブドウ品種で、日本固有の品種として知られています。ソムリエ・ワインエキスパート試験でも頻出のテーマです。

国際的に認められた日本の品種

2010年、OIV(国際ブドウ・ワイン機構)に醸造用品種として登録されました。日本の品種として初めての登録です。

果皮は藤紫色

熟すと果皮が淡い赤紫に色づく「グリ系」の品種。白ワインでも、わずかに色味が出ることがあります。

繊細でみずみずしい味わい

アルコール度数は低め〜中程度、酸は穏やか。柑橘や白い花の香りに、ほのかなスパイスと後味のほろ苦さが特徴です。

主な産地は山梨県

国内の甲州の多くは山梨県、とくに甲府盆地で栽培されています。DNA解析でヨーロッパ系(ヴィティス・ヴィニフェラ)の系統であることが確認されています。

シュール・リー
発酵後の澱(おり)とワインを接触させ、旨味と厚みを引き出す製法。甲州で広く用いられます。
樽熟成
樽で発酵・熟成させ、ふくよかさと香ばしさを加えたスタイル。
オレンジワイン
果皮ごと醸し、色・香り・ほろ苦さを引き出すスタイル。山川さんのお気に入りです。
スパークリング
繊細な酸を生かした、すっきりとした泡も造られています。

試験に出るポイント

  • 甲州のOIV登録は2010年(マスカット・ベーリーAは2013年)
  • ワインの地理的表示(GI)「山梨」の指定は2013年。国内のワインのGIとして最初の指定
  • 甲州は果皮が藤紫色に色づくグリ系の品種で、主産地は山梨県
  • 甲州でよく用いられる製法:シュール・リー(澱との接触で旨味を引き出す)

07Look-alikes

甲州と間違えやすい品種

番組で候補に挙がった品種と、甲州との見分け方を比べてみましょう。ブラインドテイスティングでは「似ている品種との違い」を知ることが上達の近道です。

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品種主な産地香りの特徴味わいの特徴甲州との見分け方番組では
甲州Koshu 日本・山梨県 青い柑橘、白い花、丁子や白コショウのようなスパイス 軽め〜中程度のボディ、穏やかな酸、後味のほろ苦さ。アルコールは低め — 今回の正解
アシルティコAssyrtiko ギリシャ・サントリーニ島 柑橘、火打石、潮を思わせる香り 非常に高い酸、塩味、引き締まった骨格 酸がより鋭く、アルコール度数も高めになりやすい 小野塚さんの最終解答
ガルガーネガGarganega イタリア・ヴェネト州(ソアーヴェ) 白い花、柑橘、アーモンド 中程度の酸、アーモンドのようなほろ苦い後味 ほろ苦さは似ているが、やや丸みとボリュームがある 小野塚さんの候補
ベルデホVerdejo スペイン・ルエダ ハーブ、フェンネル、柑橘 爽やかな酸と、後味のほろ苦さ ハーブの青さがより強く、果実味もはっきりしている 小野塚さんが検討
シャルドネ(日本)Chardonnay 長野・山梨・北海道など 柑橘、リンゴ(樽熟成ならナッツやバター) 素直な酸と中程度のボディ スパイス感やほろ苦さは控えめ 山川さんが検討

番組のこぼれ話:ブラインドテイスティングの世界では、アルネイスやガルガーネガ、アルバリーノなど、なぜか特定の品種の解答が「流行る」ことがあるそうです。何を飲んでもシュナン・ブランに思えてしまう「シュナン・ブラン病」が流行った時期も……?

08Glossary

この回の用語集

番組に登場した用語を、カテゴリ別にまとめました。0:00 を押すと、その言葉が出てくる場面から動画を再生できます。

09Quiz

この回のワイン知識チェック

この回に登場した品種・用語・醸造・産地・生産者の知識を、12問でチェックしましょう。どれもページの解説を読めば答えられる問題です。全問正解できたら、この回のワイン知識は“完全理解”です。

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